日本政策金融公庫の融資は誰でも使える?〜創業者・既存企業の違いと活用ポイント〜

投稿日:2025年5月21日

さいたま市浦和で創業の方を応援しています!埼玉 創業融資サポートセンターです。

 

「日本政策金融公庫の融資は誰でも使えるの?」というご質問をよくいただきます。

結論から言えば、原則として、創業予定者から既存企業まで幅広く利用可能です。ただし、制度の目的や審査ポイントには違いがあり、利用者の立場によって注意すべき点が変わってきます。

今回は、創業者と既存企業の違いを踏まえて、日本政策金融公庫の融資をうまく活用するためのポイントを詳しく解説します。

 

日本政策金融公庫とは?

日本政策金融公庫(通称:日本公庫)は、国が100%出資する政策金融機関です。

民間金融機関では対応が難しい創業間もない企業や小規模事業者、中小企業に対して、事業活動に必要な資金を貸し出す役割を担っています。

景気対策や雇用創出、地域経済の活性化など、政策的な目的を背景に設けられているため、低金利・長期返済・無担保融資といった条件で利用できる場合があるのが大きな特徴です。

日本政策金融公庫HP:https://www.jfc.go.jp/

 

創業者向け融資の特徴

創業予定者や開業から間もない事業者にとって、日本政策金融公庫はとても心強い存在です。

代表的な制度としては「新規開業・スタートアップ支援資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」などがあり、無担保・無保証で融資が受けられるケースもあります。

このような制度は、創業期の事業者にとって、金融機関からの融資を受けにくい状況を補う目的で設計されています。

したがって、創業者にとっては非常に利用価値の高い資金調達手段と言えるでしょう。

ただし、以下のような点が特に審査対象となりますので覚えておきましょう。

 

自己資金の有無と蓄積方法

創業者が融資を利用するには、希望融資額の10分の1以上の自己資金を準備していることが望ましいとされています。

つまり、1000万円の資金が必要であれば、100万円以上の自己資金を用意しておくことが求められます。

また、その資金が「計画的に貯めたものであるか」が重視されます。

この自己資金は、単なる預金残高だけでなく、開業準備に使った支払い(店舗契約、機器購入等)も一部含めて計上できるケースがありますので、申込時に確認しておきましょう。

※令和6年3月31日に新創業融資制度の廃止にともない、10分の1以上の自己資金要件はなくなりました。しかし、自己資金は審査のうえでも重要な要素のひとつとなりますので、融資成功のためにはしっかりと用意する必要があります。

過去の職務経験やスキル

創業しようとする分野での経験があるかどうか、業界知識がどの程度あるかも判断材料となります。

創業者の場合、まだ売上実績がない状態での申請となるため、過去の事業経験や事業に対する理解度などが評価のカギになります。

飲食店であれば調理師や店舗運営の経験、美容室なら業界歴などがプラス要素になります。

事業計画の現実性と数字の根拠

融資審査では、創業動機、提供する商品やサービス、ターゲット市場、競合との差別化、収支見通しなどを記載した「創業計画書」が重要視されます。

担当者は、この計画に現実性や実行力があるかを見極めており、単に夢や熱意を書くのではなく、具体的な数字や市場分析が求められます。

 

これらを踏まえた上で準備することで、創業者でも十分に融資のチャンスがあります。

 

既存企業向け融資の特徴

すでに事業を営んでいる法人や個人事業主であれば、創業者向け以外にもさまざまな制度を利用することができます。

たとえば「一般貸付」や「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)」などが該当し、用途に応じた幅広い資金調達が可能です。

既存企業の場合は、実績や帳簿・決算書などの数値がある分、定量的な評価が可能となります。

特にチェックされるのは以下の点です。

 

直近の決算内容(売上・利益・借入残高など)

利益が出ていなくても、改善傾向や財務の健全性が評価されることもあります。

既存企業では、決算書や確定申告書の内容が審査の中心となります。

過去2~3年分の売上、利益、借入状況、自己資本などが重視されます。

赤字決算が続いていたり、債務超過の状態にあると審査は厳しくなります。

黒字化に転じているなどの改善傾向があれば、それを説明できる資料やコメントを添えると良いでしょう。

税金の支払い状況・借入金の返済状況

税金の滞納があると融資審査にはマイナス評価になります。

融資申請前に未納がある場合は、分納計画を立てて支払いを開始していることを証明できれば、一定の配慮が得られる場合もあります。

また、他金融機関からの借入状況や返済状況もチェックされるため、日頃から資金管理をしっかり行っておくことが大切です。

必要資金の使途と返済計画の明確さ

資金を何に使うか、どう回収して返済していくかが具体的に説明できることが求められます。

漠然とした「資金繰りのため」では通りにくく、「設備の導入によって売上がこれだけ伸びる見込み」「仕入れ増加に対応するための運転資金」など、具体的な説明が必要です。

一方で、売上減少や経営悪化などの要因がある場合でも、その原因と今後の改善策を論理的に説明できれば、前向きに評価されるケースもあります。

 

利用の際のポイントと注意点

創業者・既存企業のいずれにしても、以下のポイントを押さえることで、融資の通過率を高めることができます。

 

専門家の支援を活用する

商工会議所や中小企業診断士、税理士などに相談することで、計画書の作成支援や面談対策が受けられます。

とくに「特定創業支援等事業」の対象になれば、創業時の金利がおさえられるなどのメリットもあります。

○こちらの記事もおすすめ>>>「特定創業支援等事業とは?創業を目指す方が活用すべき支援制度」

資金調達スケジュールの余裕を持つ

日本公庫の融資は、書類提出から実行まで1か月前後かかることが一般的です。

急な資金ニーズに対応するには不向きな場合もあるため、資金が必要になる2~3か月前から準備を始めるのが理想です。

面談の受け答えも重要

融資申請後には、公庫担当者との面談があります。創業者の場合は必ずありますし、既存企業でも初めての借入の場合は面談があることがほとんどです。

ここでは、計画書に書いてある内容を自分の言葉で説明できるかどうか、経営者としての考え方、リスクへの備えなどが見られています。

「なぜ今その事業をやるのか」「競合と何が違うのか」「利益はいつから出そうと考えているのか」といった質問に答えられるように準備しておきましょう。

○こちら記事もあわせてどうぞ!>>>「日本政策金融公庫の面談はどんな質問をされるのか」

 

まとめ

日本政策金融公庫の融資制度は、創業者から既存企業まで幅広い層に対応していますが、それぞれに求められる視点や準備内容は異なります。

創業者であれば、自己資金や事業経験、現実的な計画の準備が鍵となります。一方、既存企業であれば、決算の健全性や納税状況、改善計画の具体性が重要視されます。

融資は単なる「お金を借りる行為」ではなく、経営計画を見直す好機でもあります。

専門家のサポートを受けながら、しっかりと準備を整えれば事業の大きな推進力になります。ぜひ積極的に活用を検討してみてください。

 

 

 

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